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Feb.16.2010

 会員を知る:シリーズ”私の仕事”

Vol.10 近岡 令さんに聞く・・・心に望ましいガラス


 2011年の初頭を飾る会員インタビューはキルンワークの分野の近岡 令さんにお話をお伺いいたします。聞き手は下嶋理事が担当いたします。

1 武蔵野美大の工芸工業デザイン科を1993年に卒業され同大学のインテリア研究室に勤務されていたという中でガラスとどのように関わられたのでしょうか。
=美術大学に入学した動機は、モノ作りの世界に惹かれ志したからですが、特にデザインの世界に興味がありその世界を知りたいということが一番大きいものでした。
しかし、最初にデザインの基礎を学ぶときに、実感というか、実際にモノが出来上がる感覚がないまま想像しているようなプロセスをとても難しく感じたのです。
自分の思うように作れないことにショックを受けましたが、武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科という場は、デザインコースと工芸コースが併設されており、様々な素材が身近にあるということにおいて、気づかぬうちに私に大きな影響を与えてくれました。
次第に、素材に触れて実際に作りだす楽しさに惹かれるようになっていき、ガラスと出会ったのです。
私の学生時には、武蔵野美術大学にはガラスコースが設置されていませんでした。
先輩が学外で吹きガラスやキャスティングで作品作りをしているのを知り、話を聞きにいくようになったのが、ガラス素材に触れる最初のきっかけでした。そこには私がガラスという素材に魅力を感じていたこと、貪欲にガラス制作に向かっている先輩たちの姿勢へのあこがれがあったように思います。
その先輩方と一緒に学生時は吹きガラスに夢中になっていました。アルバイトで必死にお金を貯めては夏休みに吹きにいく、という繰り返しでした。
大学を卒業して、インテリアデザイン研究室に合計6年間在籍しました。
時間的に吹きガラスに触れることが難しくなり、半ばあきらめていたのですが、学内の片隅にあった金工用の電気炉をご厚意で使わせていただけることになり、私のキルンワークがスタートしました。
たまたま、そのときに窓ガラスをたくさん頂き、しばらくはそれらを材料に電気炉の扱いを覚えていきました。その頃はまだ制作といえず、作品制作はその1年後くらいから造形物を中心にはじめていきました。
今思えば、先生方や同期の助手にはジャンル違いということもありご迷惑をおかけしていたと思います。

2 スタジオ ポジの設立は何年に又どのようなきっかけでしょうか?
=大学勤務任期満了に伴い、ガラス制作を続けることを目標に、思い切って1999年に立ち上げました。最低限の場所と道具を持つことで作家として頑張れると思い、電気炉とわずかな加工機からそろえ始めました。

3 作家、学校、教室等々、多方面で活動されていらっしゃいますが、現在活動の配分、割合は?
=作家活動を中心にしています。個展やグループ展、特注制作などが主です。その他に、自宅の日野スタジオと銀座の陶芸教室をお借りしてキルンワーク講座を開いています。母校の武蔵野美術大学ではガラスコースの非常勤講師として後輩の指導にあたっています。
その他に、ガラス工具の企画開発、販売をスタートさせました。入門者はもちろん、個人作家にも適したガラス工具は少ないのが現状ですので、自分が欲しいものを作ればみんな喜んでくれるのでは、という発想です。

4 ガラス工具の企画開発とはどのようなものなのでしょうか。またその販路はどのように。
=ガラス制作において、研磨して仕上げるときに使用するダイヤモンド研磨道具をメーカーと共同開発しています。まずは初心者や学生向けのハンドツールを中心にガラスを磨く魅力を感じてもらえるような製品を企画しました。ガラス道具の小売店と直接受注という販売形態です。今後はプロ向けの製品も企画予定です。

5 インテリアの中でのガラスの存在、また役割はどのようなかたちで取り組んでいられるのでしょうか。
=インテリアデザイン出身ということに特別な思いはありませんが、デザインという世界が好きなことがガラス作品制作に大きく影響していることは間違いありません。
モノ作りにおいては、デザインも工芸も根元は同じだと思っています。技術だけでもアイデアだけでもモノは良くなりません。また、モノと空間との関係も同じです。
空間に望ましいガラス、人に望ましいガラス、生活に望ましいガラス、心に望ましいガラス、色々な視点があり、ガラスの存在の仕方も色々なのは面白いですね。

6 ガラス工芸協会に入られて2年ですね、世の中の流れも丁度転換期になったように思います。協会に入られる前の印象、入ったきっかけ、又入ったあとの感想をお聞かせ下さい。
=入会する数年前から協会には興味を持っていました。日本のガラス展を見て、多くの刺激を受けていました。入会を望み始めたのは、年齢や経験を経て後輩も増え、講座や大学でガラス工芸を教える機会が増えてきたことがきっかけでした。
ガラス工芸の中では、キルンワーク作家、特にフュージング技法を中心に活動する人はまだまだマイノリティです。ガラス工芸の面白さや奥深さもまだまだ知られていないことが多くあります。ガラス工芸をまだあまり知らない方や興味を持たれている方に、それらを伝える難しさを感じています。 作品を作るだけではなく、他の方法でもガラス工芸という奥深い世界を強く大きく広げていけたら、と考えるようになっています。そんな活動が少しでもできたら、と入会を決めました。
まだまだ入会して日も浅く、皆様の話を伺うことさえできていませんので、これからどのようなことが待っているのか、楽しみです。

7 近岡さんにとって初出展となります次回の『日本のガラス展』で実行委員を引き受けて頂きました。他の会員の方々との交流がより多くなりますね。
=「日本のガラス展」実行委員に選ばれたのはとてもうれしくもあり、大きな不安もあります。 その中で少しでも皆様のお役に立てればと思っています。伝統があり、出展者も多い大きな展覧会なので、多く学びながらどれだけ現在の新しい流れを取り入れられるか、考えていきたいと思います。 また、諸先輩方との交流は大きな魅力のひとつです。会員の皆さんが何を考えどのように作品や展示を作り進め、協会にとって何が大事なのかを知り、理解を深めたいと思います。

8 新しい流れを取り込み、今までの良い形の流れを次回の『日本のガラス展』に生かすこと、なのでしょうね。 実行委員会メンバーとして次回『日本のガラス展』に、何か考えていられていることを。
=そうですね、ガラス工芸協会がこれからどのように社会と関わっていくのか、何をアピールしてどんな方向へガラス界を牽引していくのか、そういった意義が示されるような「日本のガラス展」になることで、自然に魅力ある展覧会になると思っています。
また、会場が上野の森美術館に変わることで、今までよりも「魅せる作品作り」「魅せる展示」となり、よりガラスの魅力が表現しやすい空間が生まれるのではないかと思っています。
とても楽しみです。

9 次に協会に対するご意見、ご提案、ご要望等何か有りましたら。
=私と同年代やもう少し下の年代のガラス作家が入りやすい環境作りも今後必要になっていくと思います。教育機関との連携、海外のガラスアートシーンとの交流など、日本のガラス作家の拠所になればと思います。
また、一年を通して協会の活動を見ることができるギャラリーShin Eiさんの存在はとても大きいと思います。協会事務局もあり、情報の収集や発信の拠点となっていくと思います。

現在協会の中でも課題となっています。ぜひ具体的なアイデア等を提案して頂きたいと思います。期待をしております。

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