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Feb.16.2012

 会員を知る:シリーズ”私の仕事”

Vol.13 斉藤幸夫さんに聞く・・・光を形にする


卓越したカット技術で魅力ある作品を生み出している斉藤幸夫さんに登場していただきました。聞き手は栗田理事です。


*住居と同じ敷地内に建てられた工房は埼玉県の狭山丘陵に広がる茶畑を望む一角にあります。
カット機1台、両軸カット機1台、大型平面研磨機1台、たて型平面研磨機1台などの設備、作品展示スペースがコンパクトに上手に配置されて、きれいに整理整頓された空間は氏の凛とした作品を彷彿させるに十分な雰囲気です。

1 硝子の世界に入ってどのくらい経ちますか、またどのようなきっかけで?
=40年位になりますか、昭和44年にHOYAという会社に入り、テーブル・ウェアを製造販売する事業部の硝子加工部門に配属されました。100名以上の同期入社でどこに配属されるかは分りませんでした。技術指導ということはなくぶっつけ本番の見よう見まねのスタートでした。いわゆる徒弟制度でした。15〜17名は居たでしょうか。女性も居ました。何千とある製品をひたすらカット研磨していました。そして20歳後半から40歳代までの15年位の間が充実した期間でした。時間外に自身の発想(デザイン)でカット研磨をおこない実に楽しい時期でした。

2 で、会社を辞め独立するわけですが。
=悩んだ末、2001年退社、2003年工房設立ということになり9年経ちました。当初はもちろん仕事はなく苦労はしました。最近は某硝子会社を通じて私の作品を発表・販売できる機会も得ています。

3 当協会には
=2006年に入会させていただきました。入会できるとは思わなかったです。蒼々たる作家がいる会ですから。有体ですが広く見聞をひろげたいと。

4 積極的に企画展等に参加していますが、会の印象は如何ですか。
=Shin Eiでの切子展の参加は嬉かったです。先輩・後輩の、上・下の分け隔てが無くガラ協のいいところと思いました。但し企画展等に参加される会員が限られてきているように感じられます。せっかくの機会をと思っています。勉強になります。

5 今年は日本のガラス展開催の年です。
=質の高い作品を発表している会員外の作家が多くいます。‘日本の‘と冠が付く以上観る人はその目で観ていると思います。質の高いかたちづくりを目指して行くつもりです。いつも感じていることですが会員(準・正)の明確な基準をはっきりさせないと今回のような予備審査はよいことではありますが他方禍根を残しかねないと心配しています。難しいことですが日本のガラス展開催後一度全員見直しをする。準に降格することを前提にということとは違います、どうでしょうか。適時指導を行う。

6 造形表現ではどう追求していますか?
=繊細なカットと深いカットの組み合わせの表現でクリスタルガラスの魅力を引き出したいと思っています。光を形にすると言ってもいいかもしれません。このようなところを是非見ていただきたいと思っています。最終的にはお客様に褒められる職人(作家)になりたいですね。

7 高い技術これからどのように?
=独立後、一時期教える機会がありました。伝えることの難しさを感じ、どのように伝えるか答えはまだ出ていません。細かい話ですが深い溝つまりヒシ角度の磨きひとつとってもその技術の習得には時間がかかります。その道具ひとつ手入れできない人に任せられましょうか。削る、磨く以前の話です。このような若人が多いのです。

職人のしんがりをつとめる人の一人として、語って頂きました。どうしてではない蔑称ではないこの職人という言葉に内容と共に敬意を称している私は哀惜の念をもって伺いました。文豪谷崎曰く「芸術家の言葉より職人の言葉を信ずる」。長谷川如是閑翁、清水幾太郎氏以下おなじことを述べています。大工の世界に西行という言葉があったと仄聞しています、硝子の世界でも渡り職人という言葉を聞いています。技術を習得(盗む)すると次の良い処へと渡ると聞きました。旧知の硝子職人曰く与えられるものが多いとそこに安住してしまい技は伸びなくなるだから皆サラリーマン化してしまったと。  一直線にすっと伸びたグラスのカット、ざっくりとえぐられたカットそれら技の冴は私たちに硝子の魅力を伝えています。困難な道のりですがより一層の活躍を期待しています。

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