■'78日本のガラス展が大きな話題を提供してから、はや3年、当協会独自の企画によるイベントをトリエンナーレで開催することを決定しました。その企画内容は、国内はもとより海外との連携の中で今日的な視点から一般の皆様へガラスの世界を紹介し、正しい認識と理解を高めようとすることにあります。
 '81日本のガラス展では、サブテーマを、“今ガラスが語ろうとするものは”とし、今日の社会・経済・生活環境を背景として我々がガラス素材を通して、それぞれの立場から問い掛けると言う方法で今日のガラスの姿を表出しようとする試みであります。展示内容の新たな視点として、海外のガラス造形家の中から日本の作家・デザイナーの仕事には見られない造形キャラクターを持つ5名の秀れた方々へ出品参加を呼び
かけ、心良く出品を承諾されたことは好ましいことでありました。日本の一般生活者の方々ともども国際的な造形の見地から語り合える場となることを願っております。
 一方、展示の重要なもう一つの視点は、現代生活の日常性を支える量産ガラス製品の役割と意味を視覚化し、ビデオフィルムでのダイナミックなイメージをディスプレーに導入しました。他方手技から創造される現代ガラスの美しさ、楽しさ、遊びの面白さへの認識との対比から、現代ガラスの持つ二面性がかもし出すトータルなパワーを導き出そうとするものであり、これが'81年のガラスの世界の姿であります。今、現代のガラス世界の中で、大きな波へと動き始めているスタジオグラス運動の生長はもとより、ガラスの明日は魅力ある世界へと変動している今日です。なお、一般的にはクリエティブなガラス造形の質を支える背景には、さまざまな今日的な技術開発面で我々の行為を支える多くの人達の協力があるのは自明のこと、その恩恵を忘れることは出来ません。
 今日、日本のガラス企業の技術水準も、エネルギーや環境公害の防止面から大きく変革しつつあります。海外企業との共存の中で日本のガラスプラントの技術的開発の中に秀れたものが現れています。造形にたずさわる作家であれ、デザイナーともども、ガラスは、多くの人々のチームワークから生れた成果でであると言う想いを、この機会と共に新たにしたい。'81日本のガラス展を開催するに当り、さまざまな面で多大な御理解御協力を頂いた文化庁、朝日新聞社、窯業協会、日本硝子製品工業会、関係各位に村し厚くお礼申し上げます。

 1981年9月
 日本ガラス工芸協会会長
 船越三郎


会 期 :1981年9月11日〜23日
会 場 :新宿小田急百貨店11Fグランドギャラリー
主 催 :日本ガラス工芸協会
後 援 :文化庁、朝日新聞社、窯業協会
協 賛 :日本硝子製品工業会
出品者 :海外招待作家作品5名、名誉会員特別出品1、正会員78
招待作家:Dan Daily, David Dowler, Willem Heesen, Klaus Moje, Frantiser Vizner
内 容 :サブタイトル〜今、ガラスが語ろうとしているものは〜をテーマに海外での第一線アーチスト作品を交えた第2回展です。

○ 81日本のガラス展実行委員会
委員長 :船越三郎
委 員 :横山尚人、小田洋晴、河上恭一郎
事務局長:岩田糸子
スタッフ:伊藤 孚、太田 賢、大塚 豊、上山俊一、栗田保久、藤原誠
撮 影 :清水啓二

■特別出品:
各務鉱三/ Kozo KAGAMI
「飾皿」/ Dish
d370mm
■招待作品:海外招待作家作品は、<出版物紹介>81年図録にてご覧下さい。
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