■日本ガラス工芸協会は、1972年発足以来順調な発展を続け、ここに第3回展として「84日本のガラス展」を開催する運びとなりました。1982年、10周年を機に会の活性化を計るた織改正を行い、新しく理事会制による運営にし、年々国際化の強まる現代ガラス工芸界に対応出来る体制へと確立してまいりました。
 当協会は申すまでもなく、日本における唯一のガラス工芸組織の団体です。会員はガラスに関する全ゆる分野から参加しており、企業やフリーのデザイナー、スタジオグラスマン、作家等のガラスを共通素材としてその可能性を追率している人々によって構成し、世界でも類をみないユニークな協会です。発足当時56名の会員も現在は104となり、日本の主力ガラス造形家を網羅して、現代日本のガラス産業界及び工芸界で活躍し、ガラス文化に大きく貢献しております。
 今回テーマを“世界へ語りかける” としました様に、諸外国との交流をより深めるため、前回と同様5名の海外招待作家の作品を展覧することに加え、今回はオーストラリア、ニュージーランドの両国のガラス工芸協会との交流をふまえた10名の作品を展覧いたします。これはガラスを通じて3ヶ国の親睦を深める意義ある事と思います。また、2ヶ国以外の全世界に対し公募を呼びかけた結果、11ヶ国73名の申込みがあり、藤田喬乎(会長)、竹内伝治(理事長)、岩田久利、船越三郎の両評議員ら4名によって厳正な審査を行い、36名の作品を展覧することになり、当協会貝83名の出品と併せて134名の大規模な国際展となります。このような国際的見地に立ったメジャーな展覧会は他の工芸界ではほとんど例が無く、当協会が世界のガラス界で如何に注目されているかを示しております。
 更に、今回から優秀作品に対し賞を設けることになりました。最高賞として当協会賞(副賞30万円)、そして朝日新聞社賞、サントリー美術館賞、ブリジストン美術館賞(いづれも各副賞20万円)の四賞が設けられます。賞の選考には、外国作家を含む全作品を対象に選定いたします。今日の社会環境の中で、ガラス造形に携わる我々は、この展覧会によって現代ガラス工芸というものを可能な限り多くの人々に見ていただき、それによって日本のガラス文化の認識を高め発展することと、世界のガラス界に意義あるものとなることを確信しております。
 「'84日本のガラス展」を開催するに当り、様々な面で多大なご理解とご協力をいただいた文化庁、窯業協会、日本硝子製品工業会、朝日新聞社、サントリー美術館、ブリジストン美術館他ご関係各位に村し厚くお礼申し上げます。並びに、東京展会場の小田急百貨店、また関西においても今回はじめて開催して頂くことになった大谷美術館に対しても深〈感謝致しますと共に、ぜひともこの展覧会の成功を祈ってやみません。

 1984年9月
 日本ガラス工芸協会会長
 藤田喬平


○ 東京展
会 期 :1984年9月14日〜26日
会 場 :新宿小田急百貨店11Fグランドギャラリー
主 催 :日本ガラス工芸協会
後 援 :文化庁、朝日新聞社、窯業協会
協 賛 :日本硝子製品工業会
出品者 :海外招待作家作品5名、名誉会員特別出品1名、正会員82名、海外選抜作家作品36名
招待作家:Howerd Ben Tre/us, Ulla Forsell/sweden, Kark Paeiser/us, Johannes Schreiter/germany, Yan Zoritchak/france
内 容 :第3回展はサブタイトル〜世界へ語りかける〜。欧米第一線作家、豪州とニュージーランド作家交流、海外公募と多彩な海外作品を交えた展覧です。

○ 巡回展
会 場 :西宮市大谷記念美術館
会 期 :9月29日〜10月21日

○ 84日本のガラス展実行委員会
委員長 :竹内伝治
副委員長:横山尚人
図録担当:佐藤信泰
展示担当:小林 貢
海外担当:太田 賢
委 員 :伊藤 孚、大塚 豊、小田洋晴、河上恭一郎、菅沢利雄、益田芳徳
事務局長:岩田糸子
審査員 :河北倫明・谷川徹三・細川護貞(顧問)、藤田喬平・竹内傳治・磐田久利・船越三郎(会員)、米倉 守(朝日新聞社)、嘉門安雄(ブリジストン美術館)、土谷良雄(サントリー美術館)
撮 影 :プロス・スタジオ

■受賞作品:日本ガラス工芸協会賞、朝日新聞社賞、ブリヂストン美術館賞、サントリー美術館賞
左から
日本ガラス工芸協会賞・吉本由美子「摩天楼」
朝日新聞社賞・白幡明「花挿し」
ブリヂストン美術館賞・ブラディミール-コペッキー(チェコ)「Diagonal」
サントリー美術館賞・クラウス-モーエ(オーストラリア)「My Geonetric Garden」
■受賞作品:奨励賞
左から
横山尚人「瓶・祇園」/ステヴァン・ウェインバーグ(US)「Untitled」/ブランカ・アデンサモバ(チェコ)「The Wings」
■海外招待、海外公募選抜や交流作家の作品は、<出版物紹介>84年図録にてご覧下さい。
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