■トリエンナーレで催されている「日本のガラス展」も令年で第5回展を迎えます。当協会がこの展覧会を開催するたびに大きく成長してゆく事は皆様もよく御承知の事と思います。申すまでもなく、当協会は日本に於ける唯−の総合的なガラス工芸の団体で会員は現代日本のガラス産業界及び工芸界の代表的人材を網羅しております。
 近年我が国で数多くのガラス展が催され、又教育として地方自治体のガラス学校の建設が増え、社会の関心を高めておりますが、これらの事態に何らかの形で、当協会員が参加し、大きな成果を上げておりますことは誠に喜ばしい事で、我が国の「ガラス文化」の発展に大いに貢献していると自負致しております。この様なガラス造形の急速な発展の中で日本ガラス工芸協会が開催する、この展覧会は非常に社会的意義も大きく、責任も重いことを感ぜずには居れません。
 今回展覧会のサブタイトルは「ガラスの時、今、ガラスの言葉」とし、我々のガラスに対する情熱と、各々がガラス制作を通じて、その表現を言葉ととらえ、コミュニケーションすることを茎本として発表致しますで、数多くのユニークな作品が出品される事と思います。今回は外国公募は行なわず、海外招待9名、国内公募20名を厳選し、総出品者122名の構成で展示致します。
 又このたび始めての試みとして、賞の審査に海外の方を加えることになりました。そしてコーニンクガラス美術館より審査員としてスザヌ・K.フランツを招へいしたことは、異なった視点からの意見も多くだされ、真に意義のあることだったと思います。
 我々はこの展覧会を通じ現代ガラスを数多くの方々に見ていただき、日本の「ガラス文化」の認識を高め、世界のガラス界にとっても意義ある催しとなる事を確信しております。
 又この展覧会は、東京会場終了後は福岡に移動し、来春には一部作品をニューヨークにも巡回させる予定になっております。
「’90日本のガラス展」を開催するに当り、種々な面で多大なご理解とこ協力をいただいた文化庁、朝日新聞社、日本硝子製品工業会、サントリー美術館、フリジストン美術館ほか、関係各位に対し厚く御礼申し上げます。並びに東京会場小田急百貨店、福岡会場岩田屋百貨店に対しても深く感謝致します。

 1990年
 日本ガラス工芸協会会長
 日本芸術院会員
 藤田喬平


○ 東京展
会 期 :1990年9月5日〜16日
会 場 :新宿小田急百貨店11Fグランドギャラリー
主 催 :日本ガラス工芸協会
後 援 :文化庁、朝日新聞社
協 賛 :日本硝子製品工業会
出品者 :海外招待作家9名、会員93名、国内公募入選21名
内 容 :サブタイトル「ガラスの時・今・ガラスの言葉」。海外招待作家や会員、国内公募からの入選作品の展覧。

○ 巡回展1
会 場 :福岡・天神岩田屋本館8F催場
会 期 :10月10日〜10月15日
○ 巡回展2
会 場:ニューヨーク・ヘラーギャラリー
会 期:1991年2月2日〜24日

○ 90日本のガラス展実行委員会
委員長 :横山尚人
副委員長:太田 賢
委 員 :磯谷晴弘、上山俊一、倉本陽子、小林 貢、佐藤信泰、佐藤万里子、柴崎信太郎、藤田 潤、村上達夫、吉本由美子
事務局長:岩田糸子
審査員 :河北倫明(顧問)、藤田喬平・横山尚人(会員)、米倉守(朝日新聞社)、嘉門安雄(ブリジストン美術館)、土屋良雄(サントリー美術館)、スザンヌ・フランツ(コーニングガラス美術館)
撮 影 :阿部 賢

■受賞作品:日本ガラス工芸協会賞、朝日新聞社賞、ブリヂストン美術館賞、サントリー美術館
左から 日本ガラス工芸協会賞・山田輝雄「碑」
/朝日新聞社賞・倉本陽子「陰影の連作1」
左から フリヂストン美術館賞・上島あい子「Breeze」/サントリー実術館賞・渋谷良治「時の記憶」

■受賞作品:特別賞
Maria Lugossy「Primary Rocks V」

■受賞作品:佳作
左から
奥村哲清「プラネット・パート5」/ 菅澤利雄「トランスファー3」/ 室伸一「ステージ」
左から
吉本由美子「水中花」
/ 松下尚子「BIRTH」
■海外招待作家、国内公募入選は、<出版物紹介>90年図録にてご覧下さい。
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